美術館・画廊メモ 34平成27年2月21日~4月30日の美術日誌。日付の新しい順に記録してあります。(画廊展はほぼ2件に1件の割合で、これは! というもののみ記録しました。)各項冒頭の6桁の数字は日付です (例: 220108 = 平成22年1月8日)。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。 このひとつ前の 平成27年1月1日~2月20日の美術日誌 は、美術館・画廊メモ 33 にあります。 このひとつ後の 平成27年5月1日からの美術日誌 は、美術館・画廊メモ 35 にあります。 更新滞り。 270423 Natako/群(ぐん) 2人展 ―常識の外と戒律の内― (4/20~25) @ ヴァニラ画廊 (銀座八丁目) (昨年 美樂舎マイ・コレ展で Natako さんの「少女恋物」2連作を展示して大きな話題となりました。それに連なる美しいヌードと建物崩壊の合成写真作品「憂禁体 シリーズIII」を購入(tridek mil + i 別途額装予定)。台北から先週末に来たという Natako さんを銀座天國本店でご慰労いたしました。) 270423 椿会展2015 初心 (4/4~5/24) @ Shiseido Gallery (銀座八丁目) (5人展。赤瀬川原平さんの絵日記連作がおもしろい。『新劇』連載「埋め草」(昭60~61)と『ユリイカ』連載「科学と抒情」(昭62~63)。青木陵子さんのドローイング連作「時間の暇」センスよし。畠山直哉さんの Findling: Markgrafensteine は、ひょんなところにある巨石を撮った。氷河で運ばれて、置いてかれたんだって。) 270421 長谷川友美 画集出版記念展 The Longest Dream (4/20~25) @ スパンアートギャラリー (銀座一丁目) (時間をかけて丹念に塗り重ね、幻想世界を紡ぐ。絵のなかのアリスの澄んだ青い眼と目があうとドキッとする。サイン・イラスト入りの画集を購入。) 270421 キヤノンフォトコレクション展 富山治夫写真展 「現代語感」 (4/3~21) @ キヤノンSタワー2階 オープンギャラリー (港南二丁目) (昭和40年前後の日本をよくぞ切り取って残してくれた。路面電車の安全地帯に押し合いへし合いの男たちの写真はとみに有名。本展のオッは、堀端に一定の距離をおいて睦み合う10組のカップル。北京の北海公園みたいだね。) 270420 美樂舎アートフェア2015 (4/20~25) @ K392 Gallery (京橋三丁目) (わたしも通常の画廊1軒分のスペースをもらい、松井靖果・大倉なな・早川剛・橋口美佐の4名の若手作家の作品紹介を行っています。織田広比古「カウンターの女」も展示。他の美樂舎会員も若手紹介や手持ち作品リセールを。) 270416 北陸新幹線開業記念 富山県立近代美術館コレクションから ピカソと20世紀美術 (3/21~5/17) @ 東京ステーションギャラリー (丸の内一丁目) (客寄せパンダ的に名をつかったピカソ作品はいまひとつだったが、ポール・デルヴォー「夜の汽車」、フランシス・ベーコン「横たわる人物」が絶品。20世紀の西洋美術をちゃんと鳥瞰できるコレクションを富山県で揃えているのは立派な地方力だ。) 270416 川島優(ゆう) Coexistence コ・イグズィステンス (4/10~25) @ Fuma Contemporary Tokyo (入船一丁目) (急速に売れっ子になっている川島優さん。ひとくせありげな、きれいな女性を丹念に描き、完成度も高いのだけど、何作も見続けると飽きてくるのは否めないところ。需要に応えて、あまりに早く量産体制に入り過ぎちゃったかも。川島さんの世界に「できごと」が感じられないのが、飽きてしまう理由ではないか。1年後にこの作家がどういう絵を描いているかに注目だ。同じような絵を描き続けても、需要はあり続けると思うけど。) 270415 中川知洋個展 ヨリドコロ (4/10~19) @ 万画廊 (銀座一丁目) (お爺キャラの立体、「銀座1号」と「銀座2号」がよかったな。あと、このお爺キャラが培養槽の小さな丸窓の向こうでうめいているような絵画小品、売約済でなければ買ってたかも。) 270415 篠田教夫(のりお)展 (4/11~25) @ Gallery Tsubaki (京橋三丁目) (高度な写実鉛筆画。圧倒された。陸前高田市の「奇跡の一本松」を描いた「孤松図」連作は、3年間で9作品に魂を注ぎ込んだ。『神と仏の道を歩く』のための原画15点は、まとめてお買い上げのかたがいたそうで、慶賀の至り。) 270415 千葉重典展 (4/13~18) @ Gallery Tsubaki/GT2 (京橋三丁目) (幻想人物画の小品。金属板に描いたものは、金属の輝きを生かしてインパクトあり。素材をいろいろ工夫している。確実にファンがつく作家。) 270415 堀越達人(たつひと) Portraits of Someone (4/11~5/16) @ 木之庄企畫 (八重洲二丁目) (陰影表現を最小限にした写実人物画に幻想モチーフを入れ込むというタイプの絵ですが、緻密度を高めればさらによくなります。) 270414 ミューズたちの光と影 Version II: fashionable women on the canvas (4/11~19) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目) (英国の一級の人物画家 Mark Demsteader 氏と Fletcher Sibthorp 氏の作品。ジクレープリントと原画をとりまぜて。) 270414 古河原 泉 展 Color of Desire: Part II (4/11~19) @ Bunkamura Box Gallery (道玄坂二丁目) (描かれる女性たちが凛として美しい。デッサン作品はいいのだが、油画は描法にもう一工夫ほしい。点描法ならぬ面描法というべく、貼り絵の感覚で油絵具をカンバスに置く手法は、個性的で良い効果もあげているが、その描法にストイックに固執して女性の顔もそれで処理してしまったので、ケロイドを病む女性のように見えてしまう。顔だけはもう少し細やかに描いたほうがいい。) 270414 コレクターたちの饗宴展 パートII-2 推薦作家展 (4/14~19) @ ギャラリーゴトウ (銀座一丁目) (おおむね各作家3~5点。作風にひたれる。木村悦雄・正子夫妻推薦の馬籠伸郎さんの諧謔味のある鬼画がよい。関一彦さん推薦のベロニカ都登・山元知作品、ACT の一室の感じ。斉藤実さん推薦の塚本猪一郎作品、Gゴトウ的。) 270414 羊歯小路奇譚 出版記念原画展 最合(もあい)のぼる+黒木こずゑ (4/13~18) @ スパンアートギャラリー (銀座一丁目) (最合さんの写真と黒木さんのイラスト画。) 270413 桃桃子 ピーチモモコ ただいま日本展 (4/13~18) @ ヴァニラ画廊B展示室 (銀座八丁目) (死と女性のモチーフから、ミリタリーや葬など納得の展開。じつに丁寧丹念で高水準のペン画。米・独で5年間活動して日本へ舞い戻ってきた。応援したいです。) 270413 キジメッカ Kizimecca 展 「全否定」 (4/13~25) @ ヴァニラ画廊A展示室 (銀座八丁目) (単なる怪奇ものに終わらず、ダリ並みの上質のシュールを展開した大ぶりの作品4点(ネズミがいるもの)各12万円はお買い得で、かなり迷った。昭和42年生まれで、油画は独学。応援したい作家だが、平成26年に制作活動停止という。) 270413 Pavel Trnka New Works: ...Touches (3/30~4/25) @ ヒロ画廊 (銀座六丁目) (ガラスの小品で快活な色彩を展開する。わかりやすい作品。パヴェル・トゥルンカさんは昭和23年チェコ Podebrady 生まれ。平16~20 富山ガラス造形研究所客員教授。) 270410 ランサム&ミッチェル展 Ransom & Mitchell: The Darklings (3/30~4/11) @ ヴァニラ画廊 (銀座八丁目) (Stacey Ransom と Jason Mitchell が繰り広げる怪奇演劇のスチル写真のような質の高いアート写真。日本初個展。設定もアクターも色彩も一級で、オトナ買いしたくなる。小品も揃え、ビデオもある。) 270409 ポーラミュージアムアネックス展2015 ―ザ・ニュー・ヴィジョン― (4/7~26) @ ポーラ ミュージアム アネックス (銀座一丁目) (石塚まこ、内田亜里(Ali)、越後正志(えちご・まさし)、飯沼珠美の写真作品展。越後さんの、ネオンとバケツと鏡の作品、それから「東京物語」のスチル写真に60年後の日常スナップを組み合せた作品が面白い。飯沼さんが探偵した、東独社会主義時代に鹿島建設が建てたライプツィヒのHotel Merkurの写真も。) 270408 作田富幸個展 ―奇才の肖像― (4/1~8) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目) (不忍画廊の壁面を埋めた "100 faces/Friends" は鮮烈だったが、渋谷で再見。ここ10年の銅版画やボックスアートもあって、作家の世界に近づけた。ずいぶんお手頃価格だった。100万円あれば、ちょっとしたコレクション展を小ぶりの画廊で開けるくらい買えたな。) 270408 ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから (2/7~5/24) @ 三菱一号館美術館 (丸の内二丁目) (平成23年にも国立新美術館で「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」展があった。今回は私的蒐集の趣の小ぶりの作品が多いが、ルノワールも「アンリオ夫人」「髪を編む若い女性」など旬の人物画5点を出しているし、ボナールも明治33年「画家のアトリエ」から昭和17/19年「画家の庭の階段」まで5点の作で作風の変遷がわかる。額装に無反射ガラスを使っているので、なまの絵を見る気分で鑑賞できたのもよかった。分りやすい作品が多いためか、声高にしゃべる婆さんたちが多くてマイッた。) 270407 コレクターたちの饗宴展 パートII-1 所蔵品展 (4/7~12) @ ギャラリーゴトウ (銀座一丁目) (参加コレクターは、石堂琢己、菊池麻衣子、木村悦雄・正子夫妻、斉藤実、関一彦、山本冬彦の皆さん。作家数を欲張った出展者が多く、ややまとまりに欠ける印象があるなか、木村夫妻所蔵の立野清作品特集がいい。菊池麻衣子さんがコレクター歴1年というのにはビックリ。それでいて、コレクター仲間をしっかり周囲に集めているのは、人徳と申せましょう。) 270406 Hardness and Elasticity/硬性、弾性 Bjoern Stampes/Bo Andersson/Sophi Vejrich/塩崎由美子 (4/4~15) @ マキイマサルファインアーツ (浅草橋一丁目) (スウェーデンで活動している写真家・塩崎さんがキュレーションした4人展。スウェーデン大使館と共催の「医療とアート」展示/セミナーと連動している。「医療と…」というのは、癒しのアートという切り口だ。) 270406 日本の現代美術 1980~現在まで (4/1~28) @ 神保町 Fine Arts (神田神保町) (はじめて来てみた。絵画と本と音楽のすてきなスペース。ぼくの好きな大竹伸朗さんの作品も売ってた。ここへ来れば買えるんだ!) 270328 大坂秩加(ちか)|おおさかるた (3/21~4/18) @ Gallery MoMo Ryogoku (亀沢一丁目) (展示販売は46点のサムホール判の油画。8割がた売れている。これらを絵柄にした歌留多セットも100部限定販売で、52セット目を購入した。字札のつぶやきも面白いんだなぁ。内容的にはじつは絵札と、あまりリンクしてない。まぁそれでいいんだ、大人だもん。) 270328 柳田 補(やなぎだ・たすく) 裸婦素描展「予感」 (3/28~4/2) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (高塚省吾さんの如く正統派裸婦の鉛筆デッサン。柳田さんは松山ご出身で、なんとわたしが懇意の西川南雲(なうん)先生の高校時代の先輩にあたる。着衣の美人画のモデルをつとめた菊池あゆみさんにもお会いできた。もとホリプロ所属の女優・タレントで、いまは松山に戻っている。) 270319 オードリー・ヘップバーン Kobal コレクションより (2/4~3/29) @ 72 Gallery (京橋三丁目) (オードリーのポートレート。オリジナルプリント27点。John Kobal が昭和44年にロンドンに設立した Kobal Collection から。) 270319 科学開講! 京大コレクションにみる教育事始展 (3/5~5/23) @ LIXIL Gallery (京橋三丁目) (実験器具の数々もいま見れば金工藝術だが、掛図や解剖模型などは新たなアートのジャンルのヒントになりそうだ。架空の動物の解剖模型を丹念に作れば、まぎれもなくアートだろう。) 270319 奇想の画家展 The Eccentrics (3/18~24) @ 加島美術 (京橋三丁目) (若冲、蕭白、長澤蘆雪の墨絵掛軸。展覧会名の「奇想」は、ややこけおどし気味。蕭白さんの諧謔ものは、ぼくにも手が届く値段だ。) 270318 FACE展 2015 Frontier Artists Contest Exhibition 損保ジャパン日本興亜美術賞展 (2/21~3/29) @ 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 (VOCA展よりも「楽しめる、欲しくなる」作品が目白押しだ。各賞作品よりもそれ以外の作品の中に、ぼくのお気に入りが多い。ってことは、ぼくが審査員になれば入選作そのものががらりと替わるかもしれないね。撮影OKだったので、お気に入り作品の画像をそのうちアップします。) 270318 VOCA展 現代美術の展望 ― 新しい平面の作家たち (3/14~30) @ 上野の森美術館 (VOCA賞は小野耕石さんの12連作 Hundred Layers of Colors. おめでとうございます、うれしいです! ここ数年、耕石作品を見続けていますが、色面の変化(へんげ)自在の妙がいちだんと研がれた感じ。松平莉奈さん「青」は京都のバス停横に湧き出る青獅子の妖霊。日本画の伝統の技もしっかり習得した上での新鮮な創造。水野里奈さん「みてもみきれない」も、丹念な仕事と思い切りのよい筆致が大画面の中で好対照。) 270317 室 麻衣子 個展 March in March 3月の行進 (3/11~18) @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目) (メキシコのアマテ紙にアクリルとインクで描いた絵に味あり。そこから発展して、貼り絵だけでは収まらず、陶の部品を貼り付けた作品も作ってしまった。昭和49年生まれ。獨協大英語卒。中南米を旅しようとしてメキシコに降り立ったところでハマッてしまい、Jose Barbosa に師事した。) 270317 勝 国彰 展 (3/10~19) @ Bunkamura Box Gallery (道玄坂二丁目) (ぎゃらりぃ朋の企画。勝国彰さんの作品、どれも完成度高し。蔦の這う壁の窓から外を眺める一つ目小僧と猫の「棲み家」。3本の矢に射られ、眉間に忍苦を凝縮させる「もののふ」など。) 270317 寺山修司生誕80年 宇野亞喜良×寺山修司 演劇 Art Works 原画展 1998~2015 (2/28~3/29) @ ポスターハリスギャラリー (道玄坂二丁目) (宇野亞喜良さんの舞台衣装デッサンなど。ちょっと今回は展示品が少ないが、販売コーナーで別冊太陽と俳句全集を買ったから満足だ。) 270316 春爛漫 美女図鑑展 Part 1 (3/12~17) @ 銀座かわうそ画廊 (銀座一丁目) (早川実希さんの墨と金泥の女性ポートレート2点がよかった。主宰の二宮さんから「ばら寿司」をごちそうになった。) 270316 横田沙夜個展 さよくろ展 (3/15~21) @ アートスペース銀座ワン (銀座一丁目) (丹伸巨さん企画のモノクロドローイング展。目と口が くり・くり・ぴッのキャラがかわいいが、黒いバックは真っ黒に塗るべきだな。サインペン痕が見えすぎ。) 270316 香西文夫展 (3/16~22) @ ギャラリーミハラヤ (銀座一丁目) (牧野邦夫作品を思わせる幻想物語画。女性ポートレートなど、ぼくのストライクゾーンど真ん中だ。昭和27年生まれ、武蔵美デザイン卒。イラストレーターとして活躍してきたひと。) 270314 佐々木茜 “アリスの肖像” (3/6~28) @ アート★アイガ (八丁堀二丁目) (エッチング+手彩色の「アリスと不思議な薬 ―blue―」と原画デッサンを購入した。この画廊に若手作家たちが出展する作品のレベルが総じて高いのも、主宰の野々宮崇(たかし)さんが、制作段階で作家にどんどんアドバイスを与えるかららしい。) 270306 新印象派 光と色のドラマ (1/24~3/29) @ 東京都美術館 企画展示室 (上野公園) (「点描法のドグマ誕生から発展的解消まで」と名付けたくなる点描法オンパレードのなんとも痛々しい展覧会。モネの筆致に見られる手法を、古代ローマのタイルモザイク式のスタイルへと教条化し、人物の顔までムリに点描するものだからソバカスだらけに醜い絵に仕上がった。何のことはない、後年の粗悪なカラー印刷をわざわざ先取りしてカンバス上で繰り広げていただけのことだ。端正な仕上がりで、色感覚もぼく好みの Theo van Rysselberghe の絵だけはいいと思ったが、とにかく展覧会最後の Andre Derain の点描越えのフォーヴィズム画を見てホッとした次第。) 270306 Agopan ―パンダの激流― (3/4~15) @ Shonandai MY Gallery (六本木七丁目) (絵に文字を入れるな! と苦言を伝え続けてきた あごぱん さんが、完全に文字を捨てて、みごとに進化した。あごぱんさんに不可欠のキャラであるパンダくんたちは益々元気。花札や浮世絵の伝統意匠をちりばめて、換骨奪胎のあごぱん藝術が開花した。お祝いと景気づけに、2点購入した。「激流オセロ」と、花札意匠の「こいこい」(duoble tridek kvin mil)。鎧姿のパンダがオートバイに乗って激流を下る DM の図は「激流桶狭間」というより「激流鵯越(ひよどりごえ)」だね。) 270305 加納明日香展 そのすがた (3/2~14) @ シロタ画廊 (銀座七丁目) (加納作品の魅力は、白目なしの黒目キャラの独特の顔にあると思うのだけど、今回加納さんは顔をだぶだぶの衣服で隠した作品多数。いきおい、さして特徴のない凡庸な絵になってしまった。シロタ画廊も、作家の方向が間違っていないか、アドバイスをしてあげたらどうなのかね。) 270305 蜷川実花: Self-image (1/24~5/10) @ 原美術館 (北品川四丁目) (ただの写真展に収まることなく、1階大ギャラリーは壁面もカラフルな画像で満たす環境展示。階段室の窓にモノクロ写真をもってきたのも、いいセンス。) 270305 広川泰士(たいし) BABEL Ordinary landscapes (2/13~3/24) @ キャノンギャラリーS (港南二丁目) (徹底して無人の、大工事現場や福島の帰宅困難区域など。大画面で鮮明画像を見ると、小さな写真とは違う世界だ。) 270225 田中望展|潮つ路(しおつち) (2/7~3/1) @ 横浜美術館アートギャラリー1 ・ Cafe大倉山 (みなとみらい三丁目) (ぎゃらりぃ朋で作品・作家と出会って以来、注目してきた。ギャラリーでは30枚以上の連作で鯨漁の一大絵巻を構成した「潮つ路」(平成27年作)と、浮世絵版画のセンスで店の商号広告を美しく入れ込んだ「大宝市」(平成24年作)。Cafe では人口230人の日本海の離島・酒田市飛島に伝わる民話・民俗を絵本画に。平成元年生まれで、東北藝工大博士後期課程在籍。) 270225 横浜美術館開館25周年 ホイッスラー展 究極の美を求めて――ジャポニスムの巨匠、待望の大回顧展 (26/12/6~27/3/1) @ 横浜美術館 (みなとみらい三丁目) (ホイッスラー30代前半の「白のシンフォニー」No.2 と No.3 が呼び物で、しっかり網膜に焼き付けた。しかしぼくが好きなのは作家40代前半の Harmony in Yellow and Gold: The Gold Girl ― Gilchrist Connie と、さらにくだって61歳作の Little Rose of Lyme Regis だ。ホイッスラーが支援者のフレデリック・レイランドのために制作した華麗なる食堂内装 Harmony in Blue and Gold: The Peacock Room が大正8年にワシントン特別区のフリーア美術館に移設されたが、本展ではこの食堂内装を環境映像で再現して見せてくれる。そういう展示方法もいい。燻し銀のような「ノクターン」シリーズは晩年作かと錯覚していたが、30~40代の作だった。) 270224 interaction Vol.3 大久保如彌(なおみ)|小野さおり|小橋陽介|吉田晋之介 (2/14~3/14) @ Gallery MoMo Ryogoku (亀沢一丁目) (小橋陽介さんがすごい。大作 “self-portrait 282” はさしずめ扇子絵を貼り付けた屏風の現代版か。15枚ほどの劇中劇ならぬ画中画も大パネルのなかに破綻なくまとめた。色彩感覚もいい。昭和55年生まれ、大阪藝大卒。小野さおりさんは水槽から飛び出して人物の手や横顔もモチーフに加えだした。大久保如彌さんは女性のフィギュアを出展。) 270224 三鑰彩音(みかぎ・あやね)個展 (2/24~3/1) @ 藤屋画廊 (銀座二丁目) (絵もあでやかだが、三鑰さん本人がたいへんきれいな方で、かねて一度お会いしたいと思っていた。やっと願いがかないました。「0号室」「あなたにはわからない」が昭和前期のモダンだなと評したら、三鑰さんもその時代のデザインが好きでと。個展の大作「潜水」はオフィーリアのイメージだったようだ。それでも、縦でなく横向きがいいように思う。ステンドグラスのような、あるいは鉱物の顕微鏡写真のような「前兆」も美しい。) 270223 越中谷 壽(えっちゅうや・ひさし)展 (2/23~3/1) @ OギャラリーUP・S (銀座一丁目) (昭和14年生まれ、東京藝大油画卒・建築卒ながら腰が低くにこやかな温厚紳士。陶板画といっても、ただ釉薬で絵を描くに留まらず、金網の切れ端や針金も埋め込んでコラージュ風に仕上げたり、焼いては削り出す陶土との対話を繰り広げていたり。) 270223 館 勝生(たち・かつお)展 (2/16~3/1) @ Oギャラリー (銀座一丁目) (癌のため平成21年に44歳で夭折した作家の、30代半ばの勢いのある抽象画と、死を見つめながら世界の深みを映した晩年作。晩年作は、もちろん非売である。) 270223 藤井勘介展(「介」は土へんあり) (2/20~3/7) @ 江原画廊 (銀座一丁目) (広岡美術での個展でお会いしたことのある昭和22年生まれの作家。今回は猿の絵だ。) 270223 リアリズム展 (2/23~3/1) @ アモーレ銀座ギャラリー (銀座一丁目) (成田朱希さんの鉛筆画「金魚万望」を購入(tridek ok mil)。女性ふたりのディープなキスに揉み乳、そこに配された金魚2匹は何を象徴するか。成田さんの絵は欲しかったけれど高くて手が出しにくいところ、これはアモーレギャラリーのための平成25年の描き下ろしだそうで、ここは買っておくべきでしょう。) 270223 立澤香織個展 Portrait 5 (2/23~28) @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目) (ACT のグループ展 INTRO 3 に出しているものより、この個展のほうが粒ぞろい。立澤さんは「同じように力は入れたんですが」と言うけど。ミニサイズのとっぽい「女子のススメ2」を購入(dek mil)。小麦色の肌からブラジャーがふわりと浮いた新シリーズ「花簾」にもひかれたし、かわいいお口を丸く開けた「お伽の国のお姫様」もかわいい。「青いカーネーション」の静かな女性は松川朋奈さんみたいだな。) 270223 第10回 坂口 健 作陶展 (2/18~24) @ 日本橋高島屋6階 美術工藝サロン (日本橋二丁目) (太陽キャラの香炉にまでは手が出せないので、記念に取っ手が同じ太陽キャラの小ぶりの蓋物を購入(dek kvar mil + i)。次回は大皿を買うべく算段しようか。坂口さんが特製のミニ写真集に絵入りサインをしてくれた。) 270221 岡本夫二 装幀・原画展 (2/18~3/15) @ 神楽坂・光鱗亭ギャラリー (新宿区矢来町) (太宰治の『斜陽』の装幀もあった。光鱗亭は今年秋の朗読劇会場として考えていて、場所は合格なり。神楽坂の駅からも来やすい。で、この晩の朗読出し物、十貫寺梅軒さん読みの川端康成「温泉宿」だが、出し物の選択を完璧に誤ったね。) 270221 第38回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展 (2/19~3/1) @ 国立新美術館 1A~D, 2A~D (21日は2階の東京造形大、日藝、多摩美のみ見た。 多摩美日本画学部卒の奥村彰一さんの「おねえ山水 忘れられた理想郷」が新鮮。中国現代画の桃色や緑の色彩感覚を巧みに取り入れてユーモアのある空間をつくる。Reijinsha Galleryなどでも見ているが、残っていく作家だ。 同じく日本画学部卒の三鑰彩音(みかぎ・あやね)さんの「歪」も、女性の顔を能面の舞いの如く配した装飾画の大作。3ヶ月間、大学のアトリエに籠って描いた由。 同じく日本画学部卒の高田里沙さん「収集」は、構成にやや難があり、ふたりの女性の生動感をもっと出してほしかったが、細部の仕事が丁寧で大いに期待が持てる。 多摩美日本画 院修了の青木香保里さん「境界XII」。学部の頃から水母を描いてきたひとで、日本画の期待の星だが、修了展の作品は やや深みに欠けたように思える。 多摩美油画学部卒の唐来夏帆(とうらい・かほ)さんの「いつか」は月を光源にした、とある海浜の見晴らし台の写実。謎かけのセンスがいい。個展が見てみたい作家だ。) |